おひさまのかたち

日々つれづれ。剣道・読み語りなど

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広島の日

広島の日に。



7月の読書
読んだ本の数:10
読んだページ数:2525

小川未明童話集 (ハルキ文庫)小川未明童話集 (ハルキ文庫)

職場の人のおススメ。とても面白かった。特に良いのは『眠い町』『金の輪』『殿様の茶碗』『時計の無い村』『野ばら』『小さい針の音』全く現代的でSFだった。もっと子どもの手に渡り易い形になればよいのに。

読了日:07月04日 著者:小川 未明

恋を恋する人 (青空文庫POD)恋を恋する人 (青空文庫POD)

歩くリズムでお話が展開する様が面白い。また、花袋のエッセイにも言える事だが、独歩の若い頃の仲のいい仲間たちとわいわいやっている感じがよく現れていて楽しい。
読了日:07月06日 著者:国木田独歩

竹宮恵子傑作シリーズ 『地球へ… 』(サン・コミックス) 竹宮恵子傑作シリーズ 『地球へ…』

昔読んだものの再読。描かれたこの当時に高齢化社会だとか、AIに管理される社会だとか、人類以上の生物との邂逅だとか、何十歩も世界の先を走っていることに驚かされる。そしてこれが全五巻とは。凄い。
読了日:07月06日 著者:竹宮 恵子

編集者国木田独歩の時代 (角川選書)編集者国木田独歩の時代 (角川選書)

これは力作。非常に多面的にものを見て情報を集め、客観的に評価しようと尽力しているところに愛がみえる。没した歴史を掘り起こして記録するのは至難の業で、それをこうした形に昇華したのは素晴らしい。
著名な作家の若き日と、時代の激動がひしひし伝わる良書。
読了日:07月08日 著者:黒岩 比佐子

ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)

すごい。時間を越えてこんな形で次が紡げるのだ。作者自身がポーの一族なのではないかと思ってしまう。
読了日:07月10日 著者:萩尾 望都

プラネテス全4巻(モーニングKC)プラネテス全4巻 (モーニングKC)
読了日:07月14日 著者:幸村誠

明治文學全集 66 國木田獨歩集明治文學全集 66 國木田獨歩集

大変満喫。私の読んだのは第4版で全文旧字体だった為、貸し出し期限を過ぎてしまったが大変充実した内容。
自然主義派(独歩自身は自然主義と言われるのを嫌がったが)は、作者自身の生活がそのまま作風に現れる。親友・田山花袋や、妻・治子の頁もあり、作品の生成背景がみてとれる。
また、近年の文庫版では何故か省かれてしまっている良作(『馬上の友』『非凡なる凡人』『肘の侮辱』)も収録されており、独歩風に浸れて楽しかった。
次のお給料が入ったら買おう。
読了日:07月23日 著者:国木田 独歩

明治文学全集 82明治文学全集 82

国木田治子の『破産』だけ読了。岡本(国木田独歩)とその周囲の人との関係性がよく分かる。女性ならではの視線でロマンに飛ばず、緻密に生活を書いている所は痛々しいほど切ない。ただし、オチの部分だけまとまりを急に着けてしまったようでボッキリ読後感がないのは残念。
読了日:07月24日 著者:瀬沼 夏葉

日本文学盛衰史 (講談社文庫)日本文学盛衰史 (講談社文庫)

ほぼ600ページが一気読みだった。多重構造で明治の文壇を走破した気がする。
独歩さんが自分の作中の雪の中を、文公の後ろを付いて歩く所など涙が出そうだった。
『こころ』の「K」とは誰か?論考も非常に面白かった。
たぶんきっと読みづらいが、長谷川さんと「あの人」の小説は読んでみたく思った。
読了日:07月29日 著者:高橋 源一郎

よくわかる脳のしくみ (図解雑学)よくわかる脳のしくみ (図解雑学)

最近「脳挫傷」を間近かで見る羽目になったので読んでみた。お母さんのお腹の中で脳が出来る過程で爬虫類的な「ワニの脳」と単純な哺乳類の「ウマの脳」が出来てから「ヒトの脳」が出来ていくというのはとても面白かった。人間ってのは色んなものの複合体で出来ているんだな。
読了日:07月30日 著者:

| 面白かった作品 | 22:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ページを立てる

 ここ暫し、それなりの勢いでがつがつ本を読んでいると、
なかなか書くほうに気が回りませんね。

 もう書類一覧はお手上げになって専門家にお任せしてしまいました。
リテイクが一斉に戻ってきそうでどきどきしておりますけれども。
そしてまた新病院が増えたので書類の書き直しが増えるという・・・。

 ここ一切今までしていた活動を休止させて頂いているのですけれども、
「これ手伝える?」「これならできる?」というお願いがちらほら来ていて、
出来なかないんだけれども、見た目全く問題ない(自覚もない)息子が、
ふよふよしているのを見ると、何かの予兆を見逃したら怖い、
と思うとお断りを続けていて、申し訳ない気になるのです。
こんなに休んでいても声を掛けて下さるのはたいそう有難いことだと思っているのだけれども、
でもそれが今自分の一番の仕事だからな、ごめんね。

 一切止めてみて、自分が身体以上に色々手を出し過ぎていた事に気が付く。
そりゃあご馳走が並んでいればどれもおいしそうに見えるし、
どれにもいい所があるんだけれども、胃袋は一つ、
再開するにもどこかは削らないと、また自己崩壊するだろうなあ、と思う。

そう思って、ぽつぽつ坐るのを再開し始めましたが、
なかなか呼吸100で20分に届かなくなりましたな。
難しい。
 
 閑話休題。
 私はもともと、誰かと同じ本の感想を語り合うのが理想で、
違う感想だったりしてもいいんだけど、
そういうのがしたくてFBの読書録に登録したり、
読書メーターってのをやってみたりしているんですが、
なんだかこう、この間も
「風斗さんってフツーの本は読まないんですか?」と言われて返答に窮しておりました。
・・・まあ、国立国会図書館のデジタルデータで絶版本を読むのはフツーとはちと遠いかも知れんが、
国木田独歩なんてすごくフツーじゃん!
などと思いましてございまする。
・・・なぜか地元の本屋3軒回ったけど一冊も置いてないんだが。
読書メーターにしても、
お友達のはじめちゃんが登録したってんでブクログやってみたりしたんですが、
登録数1(自分)、レビュー1(自分)とかやたら多い気がするのは気のせいか。

 高橋源一郎さんは朝日新聞のコラムでとても好きで、
浮き足立たず、なびく訳でなく、歴史を踏まえた上で感情を抑えて世界を見ている感じが
信頼できて、よく記事を切抜きしている作家の一人です。
以前、新聞連載小説の『官能小説家』を読んだ時に意味が分からなくて挫折したんだけれども、
今回読んでいるこれは面白い。
あとこれは他の人の感想が沢山あるのも嬉しい。

高橋節なので、啄木がテレクラやってたり、透谷がジミ・ヘンドリックスが好きだったりしてるけれど。
そのうち独歩さんも出てくるようなので楽しく読んでおります。
伊良子清白って詩人はこの本ではじめて知ったよ。
趣味が鉱石ラジオ好きの詩人ってのはいいね、谷川俊太郎さんも確かそうだよね。

 まあいいや、描きたいものがまるで形になってこないのだが、
こう暑いと生き延びて身体に入れられているだけでもよしとしよう。

| 面白かった作品 | 19:16 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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最近の読書

 お友達の蔵西さんの『月と金のシャングリラ』、最新号が更新されていますよ。
チベット僧の生活を丹念に綴った漫画です。面白いよ。

 久しぶりに読書録を。
一時漫画がぜんぜん頭に入らなくて密かに困っていたんですが、
最近ちょっと読めるようになって来た。
この所活字は国木田独歩祭です。誰か参加しない?
独歩さんいいよ。
やたら感想に「地味な作家」って書かれていて憤慨するんだけれども、
特に子どもの描き方がいい。
なんかこう、人に愛されて育った満たされている感じがいいねえ。

最近職場の人が、若い頃小川未明の研究をしていらしたとかで、
「風斗さん、児童文学好きなら未明読まなきゃ!」
というのでこちらもちっとかじってますよ。
昔、語尾が苦手な覚えがあって読めなかったんですが、今読むと何が苦だったのかまるで分からん。
なかなか近未来ファンタジーで面白いですなあ。

6月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:3714

MUJIN 無尽 4巻 (ヤングキングコミックス)MUJIN 無尽 4巻 (ヤングキングコミックス)
はー、とても面白かった。自分の境遇が不幸に見えて、より弱い立場の者を貶めていく小者の姿は、今のヘイトスピーチとか2次レイプする人と同じに見えた。そんでも、そういう所から毅然と立ち向かう人の姿も同時に描くのはとても小気味好くかっこ良かった。次巻も期待。
読了日:06月02日 著者:岡田屋鉄蔵

コミック 怪盗紳士アルセーヌ・ルパン 八点鐘 (ミッシィコミックス)コミック 怪盗紳士アルセーヌ・ルパン 八点鐘 (ミッシィコミックス)
偶然見つけて購入。いいないいな、久し振りのJET節。きらめく花の近代フランスと、禍々しさが相俟っている感じがとても良かった、満喫。
読了日:06月03日 著者:JET,モーリス・ルブラン

当世浮世絵類考猫舌ごころも恋のうち (POE BACKS)当世浮世絵類考猫舌ごころも恋のうち (POE BACKS)
読了日:06月06日 著者:紗久楽さわ

写真集よみがえる古民家―緑草会編「民家図集」写真集よみがえる古民家―緑草会編「民家図集」
素晴らしい写真集!この時代のものの割に非常に彩度が高く、暗部もきちんと見て取れる。又編集解説に廻った企画者が柳田国男と佐藤功一、武田五一と、そうそう足る面々である。満喫。
読了日:06月09日 著者:


女難 (青空文庫POD(シニア版))女難 (青空文庫POD(シニア版))
盲目の尺八吹きの回想録。幼少期の幸せな感じと、後年の無情さとの対比が秀逸。独歩の作品は子どもが出てくると、尽く幸せな感じで書かれるのが良い。
読了日:06月11日 著者:国木田独歩

牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫 (く-1-2))牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫)
独歩の作品は、時代もあるだろうが、死が身近にあるのだなあ、と思った。以前読んだ時にあまり感じなかった『牛肉と馬鈴薯』は後半とても良い。『岡本の手帳』とあわせて一つのお話になる。『酒中日記』『竹の木戸』は、生活に追われる余り、生き延びることを忘れる現代と何が違うのかと思って切なかった。『渚』は、『独歩病床録』(未収録)を読んでいると未完で、もっと沢山書きたかった話の欠片なのだと知れて勿体無く思った。
読了日:06月11日 著者:国木田 独歩


ムーン・ロスト(1) (KCデラックス)>新装版 ムーン・ロスト(2) <完> (KCデラックス)新装版 ムーン・ロスト(1・2) <完> (KCデラックス)
『ブルー・ホール』が、人間以外の生き物への尊崇の念が描かれていただけに、人間の都合で他の生命体を全滅させるかもしれない賭けに出る、というのはなんとも人間のご都合主義でもの寂しい気がした。
宇宙船など宇宙の描写については流石星野さんだなあ、という所。
読了日:06月13日 著者:星野 之宣


妖女伝説―初期型 (LEGEND ARCHIVES―COMICS)妖女伝説―初期型 (LEGEND ARCHIVES―COMICS)
面白かった。こういう歴史とファンタジーを混ぜ合せた話は大好き。「宗像教授」より好みだ。
読了日:06月18日 著者:星野 之宣


『維摩経』 2017年6月 (100分 de 名著)『維摩経』 2017年6月 (100分 de 名著)
たいそう面白かった。もっとずっと難しいもののように思っていたものが、入り口が低く分かり易く解説されている。禅の本などに出てくる仏教用語、挿話や概念を知るのにとても易しかった。
読了日:06月25日 著者:

青の祓魔師 1 (ジャンプコミックス)青の祓魔師 2 (ジャンプコミックス)青の祓魔師 3 (ジャンプコミックス)青の祓魔師 4 (ジャンプコミックス)青の祓魔師1~ 4 (ジャンプコミックス)
読了日:06月26日 著者:加藤 和恵



武蔵野 (岩波文庫)武蔵野 (岩波文庫)
正直、一番有名な表題作は単調で面白みに欠けた。文語体は読みづらいが、それが砕けてからの独歩の文章はとてもいい。「置土産」「源叔父」「鹿狩」が良かった。特に「小春」の、ワーズワースへの憧れは恋文を読むような心酔でわくわくした。
読了日:06月28日 著者:国木田 独歩

画の悲み画の悲み
独歩の描く少年の姿はどうしてこうも愛らしいんだろう。道徳の教科書よろしく卑屈な話になっていくのかと穿って見ていたが、とても優しい話だった。読者は後の「岡本」(岡本、は『牛肉と馬鈴薯』の主人公。モデルは独歩本人)を知るだけに、この結末は切ないな。
読了日:06月28日 著者:国木田 独歩

独歩病床録独歩病床録感想
ああ、とうとう読み終わってしまった。最晩年のこれは、急激に老成した僧侶のような思考の熟成を見せる。周囲の友人への愛と感謝は、「人たらし」と呼ばれただけのことはある。神経質で癇癪持ちというしいわれるが、これは人に愛されたろう、と思う。独歩の性質として、絶対的な人に対する愛情の深さは、独歩作品によく反映されていて、その理由がよく分かる本である。
読了日:06月30日 著者:国木田 独歩

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「我」と「私」

 右下のブログパーツに読書メーターの窓があったのですが、
機能整備中のため更新停止だそうですので、一旦削除しましたよ。
(何でいつになっても更新されないんだろうと思っておりましたよ、気づけ私。)
興味がおありでしたら、下の「リンク」から飛べます。

 まだぽつぽつと『独歩病床録』を読んでおるのですが、
今は芸術論のくだりでね、この作品を書いた時はどうだとか、
そんな話が出てくるので、短編集を片端から読み返しています。
そんなんでなかなか進みませんよ。はっはっは。
昔何言ってるのか分からなかった『牛肉と馬鈴薯』とか、なかなかいいねえ。

 100分de名著が、今月は『維摩経』になりましてな。
前回の『三国志』は、丁度うちの子どもが『妖怪ウォッチ三国志』なるものが面白くてねえ、
なんて剣道ノートで言っていた後だったので、これを機会にと再挑戦。
もともと三国志は何度挑戦しても挫折していたのですが、
講師の先生が面白くてですな、とても分かり易かった。
ところが番組を聴いて、ほうほうなるほど。などと思って、テキストを閉じると、途端に端から抜けている。
どうにも性に合わないようですな。
漢字が多くて人の名前と事象がなかなか覚えらんないんだ。

 さて今月の『維摩経』。
少し前の道元和尚の『正法眼蔵』なんてのは難しくって、
とてもじゃないが稽古帰りの呆けた頭で理解できないので諦めておりました。
まあ今回は稽古を休んでおりますからもありましょうが、
今まで読んだ色んなものの再確認をしているようでありますよ。

 水は水であって、それが在り難かったり、怖いものであったり、厭なものであったりするのは、
つまりはそこに余計な自分があるからだと。
自分の感情がそこに映っているだけのことだと云う。
 忠太郎先生が、
自分を映すのは「鏡(かがみ)」だ、そこから「が(我)」を取ってごらん、残ったものが世界だよ」
というようなことをどこかで書いておられたが、それとおんなじことだと思った。

 『維摩経』は、固まった意識を何度でも打ち砕いて突き崩して、考え直せ、というのが
究極的に訴えたいことなんだそうな。
それは、出来た構えを何度も直して、もう立ち方から着装から全部見直して、っていう
剣道の昇段審査に向かう姿勢と似ている。

 座禅の先生がこの所ブログ書いていらして、
今暫く通えないので代わりに毎回楽しみに読んでいるんだけれども、
「私利私欲」という話が出てくる。
「私利私欲」というのと、「我」は似ているように思う。
では、どこまでが「我」で「私利私欲」なのだろうと考える。

子どもの命が繋がれ、と願うのは私欲だろうか?
誰かに使うかもしれなかった薬を使うことは私利ではなかったか?
止まった呼吸を人工的につなげたのは理法に反するエゴだったろうか?

でも私は、他に欲を持たないあの呼吸こそが「生きる」ということに見えたのだ。

呼吸をするこの体は他の生き物を殺して食し、次の世代を育てることで繋がる。
それは欲で利でないのか?
それは「私」か「我」か?

「僕の知人にこう言った人があります。《吾とはなんぞや》
なんちょう馬鹿な問いを発して自ら苦しむものがあるか到底知れない・・・。
僕の願いは寧ろ、どうにかしてこの問いを心から発したいのであります。」
  (国木田独歩『牛肉と馬鈴薯』より)

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#文アル読書12『春の鳥』

 以前からリクエストは出してあったのですけれど、まさかこの時期に通るとは思っていませんでした。
#文アル読書12 国木田独歩『春の鳥』
嬉しいかな、嬉し哉。

 『春の鳥』は私の初独歩で、これで独歩さんが好きになったのでした。
主人公の元教師は下宿先の白痴少年・六蔵と出会い、
少しでも社会人と共生できるようにと教育を試みる、
といった粗筋です。

 うちの道場は先生が何でも引き受けてくるもんだから、
私は専門知識を持たないですが
自閉症の子とか多動性の子とか、
なんて言うんだか知らないが突然大声を上げたくなっちゃう性格の子とか、
新人さんで入ってくるとみんな一緒に面倒を見ます。
教育とか指導ってどこまで必要なの?って、
一般に普通、と言われている子どもと対している時でさえいつもそう思う。

現代人が車を使うようになって、江戸時代の人たちのように早く長く歩かなくなったように、
六蔵よりも数が正確に数えられたり、鳥の名前を多く覚えられたりすることによって、
かえって数字では読めない世界が理解できなくなったり、鳥の思考が聞こえなくなったのは
私たちの方なのではないかと思う。

今、『独歩病床録』を読んでいるのだけれども、
幾種類もの薬を飲んで、社会から隔離されて生き長らえている、
その事が人間にとって本当に「自然」な状態なのかどうか、
独歩が悩んでいる下りがある。

余計な事(教育)を入れることによって、子ども/人間の可能性を奪ってやしまいか、
本当にそれは「自然」なことだろうかと自問するのだ。

ルソーの言う「自然状態」は人間社会、「文化」がある上での「自然」なのだが、
天野貞祐が
「文化という語は耕作(culture)という語源を持ち、自然に対する言葉で、
原自然に人工が加わり人間の知識技術によって開拓され育成されたものが文化である。」
(『真実を求めて』雲井書店1950)と言っていたのを思い出す。

私たちは、文化を大事にし過ぎる余り、一羽のカラスが同じ空に生きていることをつい忘れる。
自然の子・六蔵はそれを繋ぎ止める為に来て、
『春の鳥』の「私」はそれを受け取ろうと尽力した人の絵に見えるのだ。

| 面白かった作品 | 09:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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