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おひさまのかたち

日々つれづれ。剣道・読み語りなど

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月を獲るたらい

 まあ、他人にドウでもいいでしょう、ゲームの話。
『文豪とアルケミスト』、すっかりはまっております。
ゲームを熱心にやっているかというと、微妙な感じなんですが。
宮沢賢治が出ないかなー、とせっせとチャレンジしておるのですが、
違う文豪が出て、しかもあんまり読んだことない作家だったりすると
青空文庫や手元の抄訳の文学文学ガイドを漁ってみたりしています。

お陰で比較的レアな夏目漱石が出てしまってもちっとも有難くない。
木曜会の文豪、ゲーム内にあんまりいなくて揃えられないようだし。
(宮沢賢治だってアザリア以外は会派組んでいないから仲間いないんだけど)
あ、芥川が木曜会か。
個人的には寺田寅彦と鈴木三重吉を入れてくれると楽しいんだがな。
あと野上弥生子好きだけど女流作家はゲームには出てこないからね。

 それから、中野重治が文豪中最悪の悪筆だ、っていう話しだったのだけれど、
野尻抱影の悪筆さに比べたらまだまだ可愛いもんだ、と思った。
だってまだ文字に読めるもの。

 永井荷風が、発禁処分作家だというのは知っていたのだけれど、
娼婦の話とか、花柳界の話だとか、そういうものを取り扱っているから18禁的な意味で
発禁処分なのだと思っていたら、結構積極的に
「軍部のやり方、アレはドウカナ。坪15円の土地を5円で接収したんだぜ」とか
「支那人一人殺すのに2000円費やしている。この戦争がいかに愚かしいか」とか
具体的にばんばん書いている。なんという反骨精神。
国威高揚、軍備増大のご時勢に
「日本人の口にする愛国は田舎モノのお国自慢に異ならず。」(『断腸亭日乗』)
とか、そりゃあ、軍部に目をつけられるよなあ。

 田山花袋の『東京の30年』は国立国会図書館のデジタルデータで読んでいるのですが、
好きな作家先生(尾崎紅葉)へファンレター書いて自宅へ遊びに行って、
始めこそ大人しかったものの熱弁奮い過ぎて恐縮したり、
いい作品書くんだけど世間的に評価されていない作家と仲良くなって、
今時の出版業界はさ…って話に興じていたりする。

100年前の文学が、この平成の世となんかあんまり変わらない。
にわか文学ブーム、楽しい。


 土曜は剣書勉強会で、以前からずっと気になっていた「浩然の気」の章でやんした。
(『剣道講話』3巻「浩然の気」小川忠太郎・体育とスポーツ出版社)
「浩然の気」について始めて知ったのは何だったかな、
うちの道場で自由に読めますよ、ってことになってる冊子、
小川忠太郎先生の「正しい剣道とは」に載っていたんだったか。
孟子の言葉だそうでしてね。
「その気たるや至大至剛。
直を以って養いて害すること無ければ則ち天地の間に塞(ふさ)がる。」
という意味だって言うんだ。

「至大至剛」「天地を塞ぐような」気、って言うから、
もの凄く気を吐いて壮大な建前を作れ、ってことなんだと何故かずっと思っていて、
何者にもめげない、めげてもそう思う心を轢き潰すような気のことだと思っていた。

>「至剛」、絶対に剛い。これも強・弱の相対ではない。
絶対に剛いというのは、飯の上にボーっと立った湯気のような、
すぐに消えてしまうはかないもの、そういう弱いものと同じである。(p15)

 ああそうか、そこの所が欠けていたんだなあ、と思う。
この間読んだ、月を獲る、フランスの昔話と一緒で、
月を獲ろうとたらいや桶を山ほど積み重ねてよじ登るが、まだ届かない。
その内に村中のたらいを使ってしまって足がかりが足りなくなってしまう。
「あ、そうだ!」
下の方にあるたらいを引っこ抜いて、上に重ねて行けばいいんじゃね?
ということで、一番下のたらいを引っこ抜いた途端にたらいの梯子は崩れ、
月を獲ろうとした男は下界へ落ちてしまいましたよ、というお話。
あれと一緒だ。
始めのたらいがないのに上へは行かれません。
画力とか、テーマとか、ネーム力とか食い下がる必死さとか。

20141023_01.jpg
(仙厓さんの「指月布袋画賛」)

 さて、そろそろ恒例の「今年の1番!」の時期ですよ。

| 面白かった作品 | 13:03 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

水仙堂さま>

 花袋はほとんど読んだことがなかったので新鮮です。
不立文字、説明が要ることなのか最近分からなくなりましたけれども。

 ネーム作りはさなぎの中にいるよう
<ああ、なるほど。
どろどろの中から何かを作る、言い得て妙ですね。

私は漫画も剣道も読み聞かせも全部根底は同じものだと思っています。
「さなぎ」は、もう出す前の段階ですね。
ネームだったり、立会いだったり、下読みだったり。
「たらい」はデッサンの画力とか
素振りとか選書力とか、そんな感じですかね。
全然、えらそーなことじゃないですよ。

コメント有難うございました。

| 風斗 碧 | 2016/11/29 14:34 | URL | >> EDIT

花袋先生!

こんにちは。
田山花袋さんも、面白いですよね。この先生のセンチメンタルなところは、少女漫画につながっている気がするのですが、まだまだ不勉強でうまく説明出来ません。
「たらいの話」、心にささりました。「画力とか・・」の文を読むと、やはりマンガ描きなのですね、と思いました。ネーム作るのは、さなぎの中にいるように自分との闘いですよね。そこって剣道とかに通ずるのかな。なんて、えらそーな事申しました(冷や汗)

| 水仙堂 | 2016/11/29 04:21 | URL |















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